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5年後・10年後の見通し

AIによって雇用がこの先どうなるのか。各機関が公表した予測を、推計の方法と「この数字が意味しないこと」をつけて並べています。

このページに当サイトの予測はありません

ここに載っているのは「誰がいつ何と言ったか」の記録です。AI失業.comが独自に将来を見通しているわけではありません。無記名の予測や、 推計の方法を書けない予測は載せていません。

予測の人数はAI失業カウンターに一切加算していません。カウンターは起きたことだけを数える指標で、そこへ予測を混ぜると、実績と見通しの 区別がつかなくなります。数え方に書いているとおりです。

予測どうしはしばしば食い違います。たとえば野村総合研究所は「日本の労働人口の49%が技術的に代替可能」と言い、世界経済 フォーラムは「2030年までに世界で差し引き7,800万人の増加」と言います。どちらも正しく 引用されていますが、測っているものが違います。片方だけを載せると、そのどちらかの 立場に立つことになるため、両方を並べています。

2027

いまから約1年後

増減の両方Anthropic2026年7月24日 公表

AIが米国の失業率を実際に押し上げた証拠はない

Anthropicの経済部門責任者ピーター・マクロリー氏が2026年7月、AIによって米国の失業率が実質的に上昇した形跡はないとする分析を公表した。同社CEOが繰り返してきた警告とは正面から食い違う内容である。

どう推計したのか

米国の雇用統計をもとに、AIの普及と失業率の推移を突き合わせた分析。詳細な手法はSNS上の長文として公表されたもので、査読を経た論文ではない。

この予測が意味しないこと

「まだ起きていない」という分析であって、「今後も起きない」という予測ではない。またこの分析は米国の全体統計を見たもので、特定の職種や年齢層で起きている変化を否定するものではない。

出典:Fortune

2030

いまから約4年後

増える方向世界経済フォーラム(WEF)2025年1月7日 公表

2030年までに世界で9,200万人分が代替、1億7,000万人分が創出され、差し引き7,800万人の増加

78,000,000人世界の雇用の純増減

世界経済フォーラムの「Future of Jobs Report 2025」は、2030年までに9,200万人分の仕事が代替される一方で1億7,000万人分が新たに生まれ、差し引きでは7,800万人の増加になると予測した。

どう推計したのか

世界の主要な雇用主に対する調査をもとに、職種ごとの増減見通しを積み上げた。AIだけでなく、経済動向・人口動態・グリーン移行・地政学など複数の要因を織り込んだ推計である。

この予測が意味しないこと

AIによる影響だけを取り出した数字ではない。また減る仕事と増える仕事は同じ人・同じ地域で起きるとは限らず、差し引きが増加でも、特定の職種の人にとっては置き換えが起きる。当サイトのAI失業カウンターには加算していない。

出典:世界経済フォーラム

増減の両方国際通貨基金(IMF)2024年1月14日 公表

先進国では雇用の約40%がAIの影響を受ける

40%AIの影響を受ける雇用の割合(先進国)

国際通貨基金の分析は、先進国において雇用の約40%がAIの影響を受けると推計した。世界全体では約60%とされ、影響には生産性の向上と代替の両方が含まれる。

どう推計したのか

職業ごとにAIへの露出度と、AIによる補完・代替のどちらが起きやすいかを分類し、各国の雇用構成に当てはめた。影響を受ける雇用のうち、およそ半分は生産性が上がる方向、残りが代替されうる方向と整理されている。

この予測が意味しないこと

「影響を受ける」であって「失われる」ではない。40%のうち相当部分は、AIによって仕事が楽になる・成果が増える側の影響である。割合を人口に掛けて人数にすることはできない。当サイトのAI失業カウンターには加算していない。

出典:国際通貨基金(IMF)

減る方向Anthropic2025年5月28日 公表

1〜5年でホワイトカラーの初級職の半分が消え、失業率が10〜20%になりうる

50%消えうるホワイトカラー初級職の割合

Anthropicのダリオ・アモデイCEOが2025年5月、AIによってホワイトカラーの初級職の半分が1〜5年で消え、米国の失業率が10〜20%に達しうると述べた。技術・金融・法律などの業界が備えられていないと指摘している。

どう推計したのか

推計モデルにもとづく数字ではなく、取材に対する経営者の見通しとして語られたもの。根拠として自社を含むAI企業の内部で見えている能力向上の速度を挙げているが、算出方法は公表されていない。

この予測が意味しないこと

推計ではなく発言である。同じAnthropicのエコノミスト(ピーター・マクロリー氏)は2026年7月、AIが米国の失業率を実際に押し上げた証拠はないとする分析を公表しており、社内でも見解が分かれている。当サイトのAI失業カウンターには加算していない。

出典:Axios

2034

いまから約8年後

増減の両方マサチューセッツ工科大学(MIT)2025年1月1日 公表

AIによる全要素生産性の上昇は、今後10年で0.53〜0.66%にとどまる

0.66%10年間の全要素生産性(TFP)の上昇幅

ダロン・アセモグル教授の論文は、AIの影響をタスク単位で積み上げると、今後10年の全要素生産性の上昇は最大でも0.66%にとどまると推計した。学習しにくいタスクを考慮すると0.53%未満になるとしている。

どう推計したのか

AIによって影響を受けるタスクの割合と、タスクあたりのコスト削減幅の既存推計を組み合わせ、ヒュルテンの定理を用いてGDPと生産性への効果を積み上げた。初期の実証結果が「学習しやすいタスク」に偏っている点を補正した推計も併せて示している。

この予測が意味しないこと

生産性への効果の推計であり、雇用が何人減るかを示した研究ではない。またAIの能力が今後どこまで伸びるかについての前提が変われば結果も変わる。この論文は「AIの影響は限定的」とする立場の代表例で、同じ時期に正反対の見通しも公表されている。

出典:NBER(ワーキングペーパー版)

2035

いまから約9年後

減る方向野村総合研究所 / オックスフォード大学2015年12月2日 公表

日本の労働人口の約49%が就く職業は、技術的にはAI・ロボットで代替可能

49%技術的に代替可能な職業に就いている労働人口の割合

野村総合研究所がオックスフォード大学のオズボーン准教授、東京大学の松尾豊准教授と共同で601種類の職業を分析し、10〜20年以内に日本の労働人口の約49%が就く職業について、技術的にはAIやロボットで代替できるとの試算を示した。

どう推計したのか

601種類の職業それぞれについて、AI・ロボットによる代替可能性の確率を試算し、その職業に就いている労働人口を積み上げた。2015年時点で見通せる技術を前提とした推計で、創造性や社会的知性を要する職業は代替されにくいと分類されている。

この予測が意味しないこと

技術的に代替が可能かどうかの推計であり、実際にそれだけの雇用が失われるという予測ではない。導入にかかる費用、法規制、社会的な受け入れ、人手不足の状況は考慮していない。いわば代替可能性の上限を示した数字であり、AI失業カウンターには一切加算していない。2015年の公表であり、生成AIの登場前の技術を前提としている点にも注意が必要。

出典:総務省 情報通信白書(平成30年版)

減る方向オックスフォード大学2018年7月1日 公表

日本の労働人口の約47%が10〜20年で代替可能

47%技術的に代替可能な職業に就いている労働人口の割合

オックスフォード大学の研究では、日本の労働人口の約47%が就く職業が10〜20年で代替可能と推定された。野村総合研究所の49%とは推計手法が異なるが、近い水準の数字が独立に出ている。

どう推計したのか

職業ごとの作業内容を分解し、自動化のしやすさから代替可能性を推計したうえで、日本の労働人口構成に当てはめた。総務省の情報通信白書が野村総合研究所の推計と並べて紹介している。

この予測が意味しないこと

野村総合研究所の推計と同じく、技術的な代替可能性であって実際の雇用消滅の予測ではない。2つの推計が近い数字になったことは、手法が似ていることの表れでもあり、互いの裏付けとして扱うことはできない。

出典:総務省 情報通信白書(平成30年版)

2036

いまから約10年後

減る方向みずほフィナンシャルグループ2026年2月27日 公表

10年で事務職の業務を最大5,000人分削減(自社計画)

5,000人分AIによる効率化で削減する事務職の業務量

みずほフィナンシャルグループが2026年2月に示した自社計画。全国に約1万5,000人いる事務職員のうち、10年間で最大5,000人分の業務をAIで削減する。解雇はせず他部門へ再配置するとしている。

どう推計したのか

調査機関による推計ではなく、企業自身が公表した経営計画。AIの活用によって削減できる事務作業の量を、人数換算で示したもの。

この予測が意味しないこと

予測というより企業の計画であり、達成されるとは限らない。また削減されるのは業務量であって、その人数が職を失うわけではない(同社は再配置すると明言している)。1社の計画であり、業界全体の見通しではない。

出典:日本経済新聞

減る方向Tesla / xAI2026年7月28日 公表

10〜20年後には働くことが選択になり、2036年には貨幣が意味を持たなくなる

イーロン・マスク氏は、AIとロボットがほとんどの仕事を担うようになり、10〜20年後には働くかどうかが個人の選択になると述べている。2026年7月のインタビューでは、2036年には貨幣が意味を持たなくなるとも語った。

どう推計したのか

推計ではなく、インタビューでの見通しの表明。算出の根拠は示されていない。AIが5年ほどで人間の知能の総和を超えるという前提が語られている。

この予測が意味しないこと

推計方法が公表されていない個人の見通しであり、数値としての裏付けはない。当サイトが確からしいと評価して掲載しているわけではなく、影響力の大きい発言として記録している。実現時期についての同氏の過去の予測は、実際より早い時期を示すことが多かったと指摘されている。カウンターには一切関係しない。

出典:Forbes JAPAN(Yahoo!ニュース掲載)

予測ではなく、いま起きていることを見る

将来の数字は幅が大きく、機関によって前提も違います。実際に何が起きたかはイベントデータベースに1件ずつ、日本の雇用が静かに絞られている様子は見えない失業の指標に時系列で記録しています。予測と実績は別のものとして読んでください。