AI失業.com

5年後・10年後の見通し

AIによって雇用がこの先どうなるのか。各機関が公表した予測を、推計の方法と「この数字が意味しないこと」をつけて並べています。

このページに当サイトの予測はありません

ここに載っているのは「誰がいつ何と言ったか」の記録です。AI失業.comが独自に将来を見通しているわけではありません。無記名の予測や、 推計の方法を書けない予測は載せていません。

予測の人数はAI失業カウンターに一切加算していません。カウンターは起きたことだけを数える指標で、そこへ予測を混ぜると、実績と見通しの 区別がつかなくなります。数え方に書いているとおりです。

予測どうしはしばしば食い違います。たとえば野村総合研究所は「日本の労働人口の49%が技術的に代替可能」と言い、世界経済 フォーラムは「2030年までに世界で差し引き7,800万人の増加」と言います。どちらも正しく 引用されていますが、測っているものが違います。片方だけを載せると、そのどちらかの 立場に立つことになるため、両方を並べています。

根拠の種類を分けています

査読を経た論文と、経営者がインタビューで語った見通しでは、確からしさがまったく違います。 どちらも読者が実際に目にするものなので載せますが、同じ見た目では並べません。 各カードの左上に、何にもとづく話かを示しています。

  • 査読論文1第三者の査読を経た研究。推計方法が公開されている。
  • 査読前の論文0推計方法は公開されているが、第三者の査読は経ていない。
  • 機関の推計8調査機関・国際機関が方法を示して出した推計。
  • 企業の計画1企業が自社について公表した計画。推計ではなく意思表明で、達成されるとは限らない。
  • 個人の発言5推計方法は示されていない。発言者の立場と利害を併記している。

2027

いまから約1年後

個人の発言増減の両方ピーター・マクロリー(Anthropic 経済部門責任者)Anthropic2026年7月24日

AIが米国の失業率を実際に押し上げた証拠はない

Anthropicの経済部門責任者ピーター・マクロリー氏が2026年7月、AIによって米国の失業率が実質的に上昇した形跡はないとする分析を公表した。同社CEOが繰り返してきた警告とは正面から食い違う内容である。

この発言者の立場と利害

同じ企業に所属しながら、自社CEOの見通しに対して反対の分析を示した人物。AI企業の内部から出た慎重論という点で、立場としては自社に不利な方向の発言にあたる。

どのような場での発言か

米国の雇用統計をもとに、AIの普及と失業率の推移を突き合わせた分析。詳細な手法はSNS上の長文として公表されたもので、査読を経た論文ではない。

この予測が意味しないこと

「まだ起きていない」という分析であって、「今後も起きない」という予測ではない。またこの分析は米国の全体統計を見たもので、特定の職種や年齢層で起きている変化を否定するものではない。

出典:Fortune

2030

いまから約4年後

機関の推計増える方向世界経済フォーラム(WEF)2025年1月7日

2030年までに世界で9,200万人分が代替、1億7,000万人分が創出され、差し引き7,800万人の増加

78,000,000人世界の雇用の純増減

世界経済フォーラムの「Future of Jobs Report 2025」は、2030年までに9,200万人分の仕事が代替される一方で1億7,000万人分が新たに生まれ、差し引きでは7,800万人の増加になると予測した。

どう推計したのか

世界の主要な雇用主に対する調査をもとに、職種ごとの増減見通しを積み上げた。AIだけでなく、経済動向・人口動態・グリーン移行・地政学など複数の要因を織り込んだ推計である。

この予測が意味しないこと

AIによる影響だけを取り出した数字ではない。また減る仕事と増える仕事は同じ人・同じ地域で起きるとは限らず、差し引きが増加でも、特定の職種の人にとっては置き換えが起きる。当サイトのAI失業カウンターには加算していない。

出典:世界経済フォーラム

機関の推計増減の両方マッキンゼー・グローバル・インスティテュート2023年7月26日

2030年、米国の労働時間の最大30%が自動化されうる

30%自動化されうる労働時間の割合

マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの推計では、2030年までに米国経済の労働時間の最大約30%が自動化されうる。生成AIを考慮しない場合は21.5%であり、生成AIの登場によって8ポイント上振れた形になる。同時に、2030年までに1,200万人が職種そのものを移る必要が生じるとしている。事務職・生産工程・カスタマーサービスの需要が減り、STEM・医療などの需要は増えるという内訳である。

どう推計したのか

職業を作業活動(アクティビティ)単位に分解し、生成AIを含む技術で自動化されうる時間の割合を積み上げた。生成AIを織り込まない従来推計(21.5%)との差分として、生成AIの寄与を示している。職種間の移動人数は、需要が減る職種の就業者数から推計している。

この予測が意味しないこと

自動化されるのは労働**時間**であって、職そのものではない。同レポートは知識労働者について「職を消すというより仕事の中身を変える可能性が高い」としている。1,200万人という数字も失業者数ではなく、職種を移る必要が生じる人数である。コンサルティング会社が自社の見通しとして公表したもので、査読は経ていない。AI失業カウンターには一切加算していない。

出典:McKinsey Global Institute「Generative AI and the future of work in America」

機関の推計増減の両方国際通貨基金(IMF)2024年1月14日

先進国では雇用の約40%がAIの影響を受ける

40%AIの影響を受ける雇用の割合(先進国)

国際通貨基金の分析は、先進国において雇用の約40%がAIの影響を受けると推計した。世界全体では約60%とされ、影響には生産性の向上と代替の両方が含まれる。

どう推計したのか

職業ごとにAIへの露出度と、AIによる補完・代替のどちらが起きやすいかを分類し、各国の雇用構成に当てはめた。影響を受ける雇用のうち、およそ半分は生産性が上がる方向、残りが代替されうる方向と整理されている。

この予測が意味しないこと

「影響を受ける」であって「失われる」ではない。40%のうち相当部分は、AIによって仕事が楽になる・成果が増える側の影響である。割合を人口に掛けて人数にすることはできない。当サイトのAI失業カウンターには加算していない。

出典:国際通貨基金(IMF)

個人の発言増減の両方島田明(NTT 代表取締役社長)日本電信電話(NTT)2025年11月15日

5年後にはグループ34万人の業務の半分以上をAIが担える

50%AIが代替できる業務の割合(グループ全体)

NTTの島田明社長は2025年11月、グループ約34万人が担う業務のうち、5年後には半分以上をAIが担えるようになるとの見方を示した。同時に、米国のテック大手のようなリストラは否定し、AIは社員の雇用を奪うものではなく人手不足を補う存在だと説明している。

この発言者の立場と利害

国内最大級の雇用主(グループ約34万人)の経営者であると同時に、AIを開発・販売する事業者の経営者でもある。AIの能力を高く語ることは事業上の利益になりうる一方、雇用主としては大規模な人員削減を否定する立場にある。この2つの立場が同じ発言のなかに同居している点を踏まえて読む必要がある。

どのような場での発言か

日本経済新聞の連載「労働臨界」における取材での発言。推計方法は公表されていない。元記事は有料会員限定のため本文を直接確認できておらず、日本経済新聞の公式アカウントによる自社記事の要約で発言の要旨を確認している。

この予測が意味しないこと

「業務の半分以上をAIが担える」は、社員の半分が不要になるという意味ではない。発言者自身がリストラを否定し、空いた人的リソースを付加価値の高い業務へ振り向けると説明している。また「担える」は可能性の話であって、実際にそうなるという予測でもない。日本の雇用の縮小は解雇ではなく配置転換と採用抑制の形をとることが多く、この発言もその文脈にある。AI失業カウンターには一切加算していない。

出典:日本経済新聞「AIが仕分ける日本の雇用 NTT、34万人の業務『5年後に半分代替』」

個人の発言減る方向ダリオ・アモデイ(Anthropic 最高経営責任者)Anthropic2025年5月28日

1〜5年でホワイトカラーの初級職の半分が消え、失業率が10〜20%になりうる

50%消えうるホワイトカラー初級職の割合

Anthropicのダリオ・アモデイCEOが2025年5月、AIによってホワイトカラーの初級職の半分が1〜5年で消え、米国の失業率が10〜20%に達しうると述べた。技術・金融・法律などの業界が備えられていないと指摘している。

この発言者の立場と利害

生成AIを開発・販売する企業の経営者であり、AIの能力が高いと語ることが事業上の利益になりうる立場にある。同時に、自社モデルの内部評価を最も早く見られる立場でもある。読者はこの両面を踏まえて受け取る必要がある。

どのような場での発言か

推計モデルにもとづく数字ではなく、取材に対する経営者の見通しとして語られたもの。根拠として自社を含むAI企業の内部で見えている能力向上の速度を挙げているが、算出方法は公表されていない。

この予測が意味しないこと

推計ではなく発言である。同じAnthropicのエコノミスト(ピーター・マクロリー氏)は2026年7月、AIが米国の失業率を実際に押し上げた証拠はないとする分析を公表しており、社内でも見解が分かれている。当サイトのAI失業カウンターには加算していない。

出典:Axios

2033

いまから約7年後

機関の推計増減の両方ゴールドマン・サックス2023年4月5日

生成AIが世界でフルタイム3億人分の仕事を自動化にさらす

300,000,000人分自動化にさらされるフルタイム雇用の相当数

ゴールドマン・サックスのエコノミスト2名によるレポートは、生成AIによる業務の変化が世界でフルタイム3億人分の仕事を自動化にさらしうると推計した。米国では事務・管理支援の46%、法務の44%のタスクが自動化されうるとしている。一方で同じレポートは、生産性の押し上げによって10年間で世界のGDPが7%増える可能性があるとも述べている。

どう推計したのか

900を超える職業のタスク内容を記録したデータベースを分析し、生成AIで代替されうるタスクの割合を職業ごとに算出したうえで、米国と欧州のデータをもとに世界へ外挿した。生産性への効果は10年間で1.5ポイントの押し上げとして見積もっている。

この予測が意味しないこと

「3億人が失業する」という推計ではない。自動化に**さらされる**仕事量をフルタイム換算した数字であり、同じレポートは「自動化された職は歴史的に新しい職の創出で相殺されてきた。過去80年で現在の労働者の60%は1940年に存在しなかった職に就いている」と明記している。投資銀行が自社の見通しとして公表したもので、査読は経ていない。AI失業カウンターには一切加算していない。

出典:Goldman Sachs「Generative AI could raise global GDP by 7%」

2034

いまから約8年後

査読論文増減の両方マサチューセッツ工科大学(MIT)2025年1月1日

AIによる全要素生産性の上昇は、今後10年で0.53〜0.66%にとどまる

0.66%10年間の全要素生産性(TFP)の上昇幅

ダロン・アセモグル教授の論文は、AIの影響をタスク単位で積み上げると、今後10年の全要素生産性の上昇は最大でも0.66%にとどまると推計した。学習しにくいタスクを考慮すると0.53%未満になるとしている。

どう推計したのか

AIによって影響を受けるタスクの割合と、タスクあたりのコスト削減幅の既存推計を組み合わせ、ヒュルテンの定理を用いてGDPと生産性への効果を積み上げた。初期の実証結果が「学習しやすいタスク」に偏っている点を補正した推計も併せて示している。査読誌 Economic Policy(第40巻121号、2025年1月)に掲載された。査読前のワーキングペーパー版は NBER w32487 として公開されている。

この予測が意味しないこと

生産性への効果の推計であり、雇用が何人減るかを示した研究ではない。またAIの能力が今後どこまで伸びるかについての前提が変われば結果も変わる。この論文は「AIの影響は限定的」とする立場の代表例で、同じ時期に正反対の見通しも公表されている。

出典:Economic Policy(オックスフォード大学出版局)

2035

いまから約9年後

機関の推計減る方向野村総合研究所 / オックスフォード大学2015年12月2日

日本の労働人口の約49%が就く職業は、技術的にはAI・ロボットで代替可能

49%技術的に代替可能な職業に就いている労働人口の割合

野村総合研究所がオックスフォード大学のオズボーン准教授、東京大学の松尾豊准教授と共同で601種類の職業を分析し、10〜20年以内に日本の労働人口の約49%が就く職業について、技術的にはAIやロボットで代替できるとの試算を示した。

どう推計したのか

601種類の職業それぞれについて、AI・ロボットによる代替可能性の確率を試算し、その職業に就いている労働人口を積み上げた。2015年時点で見通せる技術を前提とした推計で、創造性や社会的知性を要する職業は代替されにくいと分類されている。

この予測が意味しないこと

技術的に代替が可能かどうかの推計であり、実際にそれだけの雇用が失われるという予測ではない。導入にかかる費用、法規制、社会的な受け入れ、人手不足の状況は考慮していない。いわば代替可能性の上限を示した数字であり、AI失業カウンターには一切加算していない。2015年の公表であり、生成AIの登場前の技術を前提としている点にも注意が必要。

出典:総務省 情報通信白書(平成30年版)

機関の推計減る方向オックスフォード大学2018年7月1日

日本の労働人口の約47%が10〜20年で代替可能

47%技術的に代替可能な職業に就いている労働人口の割合

オックスフォード大学の研究では、日本の労働人口の約47%が就く職業が10〜20年で代替可能と推定された。野村総合研究所の49%とは推計手法が異なるが、近い水準の数字が独立に出ている。

どう推計したのか

職業ごとの作業内容を分解し、自動化のしやすさから代替可能性を推計したうえで、日本の労働人口構成に当てはめた。総務省の情報通信白書が野村総合研究所の推計と並べて紹介している。

この予測が意味しないこと

野村総合研究所の推計と同じく、技術的な代替可能性であって実際の雇用消滅の予測ではない。2つの推計が近い数字になったことは、手法が似ていることの表れでもあり、互いの裏付けとして扱うことはできない。

出典:総務省 情報通信白書(平成30年版)

2036

いまから約10年後

企業の計画減る方向みずほフィナンシャルグループ2026年2月27日

10年で事務職の業務を最大5,000人分削減(自社計画)

5,000人分AIによる効率化で削減する事務職の業務量

みずほフィナンシャルグループが2026年2月に示した自社計画。全国に約1万5,000人いる事務職員のうち、10年間で最大5,000人分の業務をAIで削減する。解雇はせず他部門へ再配置するとしている。

どう推計したのか

調査機関による推計ではなく、企業自身が公表した経営計画。AIの活用によって削減できる事務作業の量を、人数換算で示したもの。

この予測が意味しないこと

予測というより企業の計画であり、達成されるとは限らない。また削減されるのは業務量であって、その人数が職を失うわけではない(同社は再配置すると明言している)。1社の計画であり、業界全体の見通しではない。

出典:日本経済新聞

個人の発言減る方向ビル・ゲイツ(マイクロソフト共同創業者)Gates Notes(ビル・ゲイツ個人のブログ)2026年8月26日

AIで生まれる新しい仕事は、適切な政策が無ければ今あるより大幅に少なくなる

ビル・ゲイツ氏は2026年8月26日、自身のブログに約6,000語の論考を掲載し、AI時代への移行は人類史上最も激動の時代のひとつになると述べた。今後10年で法律・カスタマーサービス・医療・ソフトウェア・製造の仕事が影響を受けるとし、「新しい仕事も生まれるが、適切な政策が無ければ今あるより大幅に少なくなる」と書いている。あわせて、AIとロボットの性能が上がっても人間だけに残す仕事(Human Reserved)を設けるべきだと提案した。

この発言者の立場と利害

マイクロソフトの共同創業者。同社はOpenAIへの出資を通じて生成AIの普及から利益を得る立場にあり、ゲイツ氏自身も長年AIの可能性を積極的に語ってきた人物である。その意味で当事者にあたるが、今回の論考はAIの導入が雇用へ破壊的な影響を与えうるとする慎重論で、自らの立場に有利とは言えない方向の発言になっている。一方で、AIの影響を大きく語ることは、AIを社会が対処すべき重要な問題として扱わせるという点で、本人の政策提言や財団の活動とは方向が一致する面もある。

どのような場での発言か

推計モデルにもとづく数字ではなく、本人がブログに掲載した論考での主張である。人数や割合は示されていない。当サイトは gatesnotes.com の原文を取得できず(403)本文を直接確認できていないため、原文を引用した報道で文言を確認した。引用が一致していることは複数の媒体(Fox Business、The National、共同通信)で確かめている。

この予測が意味しないこと

予測ではなく発言であり、人数の推計ではない。「Human Reserved」は現に存在する制度ではなく、本人の提案である。またゲイツ氏は同じ論考でAIの利点(医療や教育での可能性)も述べており、悲観論だけを述べたわけではない。名指しされた職種も、その職種が消えるという意味ではなく、影響が先に出る領域として挙げられたものである。AI失業カウンターには一切加算していない。

出典:Fox Business(ゲイツ氏の論考を引用した報道)

個人の発言減る方向イーロン・マスクTesla / xAI2026年7月28日

10〜20年後には働くことが選択になり、2036年には貨幣が意味を持たなくなる

イーロン・マスク氏は、AIとロボットがほとんどの仕事を担うようになり、10〜20年後には働くかどうかが個人の選択になると述べている。2026年7月のインタビューでは、2036年には貨幣が意味を持たなくなるとも語った。

この発言者の立場と利害

AI開発企業(xAI)と、人型ロボットを開発するTeslaの経営者。AIとロボットが労働を代替するという見通しは、自社の事業価値の説明そのものでもある。技術の到来時期についての過去の予測は、実際より早い時期を示す傾向があったと繰り返し指摘されている。

どのような場での発言か

推計ではなく、インタビューでの見通しの表明。算出の根拠は示されていない。AIが5年ほどで人間の知能の総和を超えるという前提が語られている。

この予測が意味しないこと

推計方法が公表されていない個人の見通しであり、数値としての裏付けはない。当サイトが確からしいと評価して掲載しているわけではなく、影響力の大きい発言として記録している。実現時期についての同氏の過去の予測は、実際より早い時期を示すことが多かったと指摘されている。カウンターには一切関係しない。

出典:Forbes JAPAN(Yahoo!ニュース掲載)

2040

いまから約14年後

機関の推計減る方向経済産業省2026年3月1日

2040年、AI・ロボットの活用で事務職が約437万人の余剰になる可能性

437万人事務職の需給ミスマッチ(供給が需要を上回る分)

経済産業省の2040年就業構造推計(改訂版)は、AI・ロボット等の活用による省力化に伴い、事務職の労働需要が1,039万人まで減る一方で供給は1,476万人あり、約437万人の余剰が生じる可能性があるとした。2022年の事務職就業者数は1,455万人である。学歴別では大卒・院卒の文系人材が約76万人の余剰になるとしている。

どう推計したのか

2025年6月の産業構造審議会「第4次中間整理」における2040年の産業構造推計(新機軸ケース=十分な国内投資と産業構造転換が実現する場合)を前提に、総務省「就業構造基本調査」(令和4年)と文部科学省「学校基本調査」(令和4年)の調査票情報を経済産業省が独自に加工し、職種別・学歴別・地域別の労働需要と労働供給をそれぞれ推計して差を取った。AI・ロボット等の活用と労働の質の向上で約200万人分に相当する労働需要が効率化されるとしている。

この予測が意味しないこと

これは失業者数の予測ではなく、労働需要と労働供給の差である。同じ推計で就業者数全体は人口減少により6,706万人(2022年)から6,303万人へ減るとしており、経済産業省自身は「全体で大きな不足は生じない」と結論づけている。つまり事務職の余剰は、職種を移れば吸収されうる数として示されている。余剰=失業ではないため、AI失業カウンターには一切加算していない。また新機軸ケースという特定のシナリオを前提にしており、前提が変われば数字も変わる。

出典:経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会(第30回)参考資料2「2040年の就業構造推計(改訂版)について」

機関の推計増える方向経済産業省2026年3月1日

2040年、AI・ロボット等の活用を担う人材が約339万人不足する可能性

339万人AI・ロボット等の利活用を担う人材の不足数

同じ推計の裏側で、AI・ロボット等の利活用を担う人材は需要782万人に対し供給443万人で、約339万人が不足するとされた。2022年の同人材は236万人である。専門職全体でも約181万人、現場人材も約260万人が不足する見通しで、東京圏を除くほとんどの地域で専門職が足りなくなるとしている。

どう推計したのか

事務職の余剰と同じ推計にもとづく。「AI・ロボット等の利活用を担う人材」は令和4年就業構造基本調査の職業分類のうち、機械技術者やその他の情報処理通信技術者等を集計したもの。学歴別では大卒・院卒の理系人材が約124万人不足するとしている。

この予測が意味しないこと

不足するとされているのはAIを作る人ではなく、AI・ロボットを現場で使いこなす人材である。またこの数字は「新しい仕事が339万人分生まれる」ことを意味しない。需要に供給が追いつかない見込みを示したもので、事務職の余剰437万人がそのままこちらへ移れることを示したものでもない。移るには学歴・地域・技能の壁があり、同じ資料はそれを「ミスマッチ」と呼んでいる。AI失業カウンターには一切加算していない。

出典:経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会(第30回)参考資料2「2040年の就業構造推計(改訂版)について」

予測ではなく、いま起きていることを見る

将来の数字は幅が大きく、機関によって前提も違います。実際に何が起きたかはイベントデータベースに1件ずつ、日本の雇用が静かに絞られている様子は見えない失業の指標に時系列で記録しています。予測と実績は別のものとして読んでください。