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日本の「見えない失業」

日本では雇用の縮小が「解雇」の形をとらないことが多く、レイオフの報道だけを追っていると実態を取り逃がします。失業率に表れる前に動く数字を、出典つきで記録しています。

なぜイベントとは別に持つのか

イベントデータベースには、企業・日付・人数が特定できる出来事を1件ずつ記録しています。ただし日本では、 雇用が絞られていても出来事として表に出てきません

  • 希望退職の「募集」は本人が応募する形なので、統計上は自己都合退職になる
  • 新卒採用計画の縮小では、誰も職を失わないため失業として数えられない
  • 職種別の求人が細っても、全体の有効求人倍率にはすぐ表れない

これらは1件ずつの出来事ではなく時系列でしか見えないため、指標として別に持っています。数値は公的統計・調査機関の公表値をそのまま記録し、当サイトで加工・推計はしていません。出典は観測値ごとに付けています。

退職

上場企業の早期・希望退職 募集人数

出典:東京商工リサーチ

国内の上場企業が1年間に募集した早期退職・希望退職の人数。東京商工リサーチが適時開示資料と独自調査から集計している。

最新(2025年

17,875人

2024年から +7,866人

※ 出典で数値を確認できた年のみを並べています。棒と棒のあいだの年は、まだ収録していないだけで「0」ではありません。横軸の間隔は実際の年数と対応していません。

なぜこれが雇用の手がかりになるのか

日本では雇用の縮小が「解雇」ではなく「希望退職の募集」という形をとることが多く、海外のレイオフ報道と同じ基準では捕捉できない。本人が応募する形式のため統計上は自己都合退職に分類され、失業率にもすぐには表れない。国内で雇用が実際にどれだけ絞られているかを見るには、この数字を追うのが最も早い。

この数値が意味しないこと

募集人数であって、実際に退職した人数ではない。またAIを理由とする分だけを取り出した数字ではなく、事業再編・業績不振・年齢構成の是正など理由はさまざまである。AI失業カウンターには加算していない。上場企業に限られ、中小企業や非上場企業は含まれない。

観測値と出典をすべて見る(6点)
  • 2025年

    17,875人
    備考
    募集社数43社。2012年(1万7,705人)を超え、2009年以降で3番目の高水準。募集人数の85%を直近決算が黒字の企業が占めた。
  • 2024年

    10,009人
    備考
    募集社数57社。前年の約3倍で、3年ぶりに1万人を超えた。オムロン1,000人、資生堂1,500人、コニカミノルタ2,400人など大型募集が目立った。
  • 2023年

    3,161人
    備考
    募集社数41社。直近では最も少ない年。
  • 2021年

    15,892人
    備考
    新型コロナ下での大型募集が相次いだ年。
  • 2019年

    11,351人
    備考
    新型コロナ流行前の水準。
  • 2012年

    17,705人
    備考
    東日本大震災後の水準。2025年の記事で比較対象として示された値。

上場企業の早期・希望退職 募集社数

出典:東京商工リサーチ

早期退職・希望退職の募集を公表した国内上場企業の数。募集人数と並べて見ることで、1社あたりの規模が変わっているかが分かる。

最新(2025年

43社

2024年から −14社

なぜこれが雇用の手がかりになるのか

社数と人数を分けて見ると、雇用の絞られ方の質が読める。2025年は社数が前年から減ったのに人数は約1.8倍になっており、少数の企業が大規模に募集する形へ変わったことを示す。件数だけを追うと「減っている」と誤読する。

この数値が意味しないこと

公表された募集のみを数えており、公表せずに実施したものは含まれない。人数を公表しない募集もあるため、社数と人数は必ずしも対応しない。上場企業に限られる。AIを理由とする募集だけを取り出した数字ではなく、AI失業カウンターにも加算していない。

観測値と出典をすべて見る(3点)

採用

大学生・大学院生1人あたりの求人件数。リクルートワークス研究所が毎年公表している調査で、卒業年度ごとの数値。

最新(2026年

1.66倍

2025年から −0.09倍

なぜこれが雇用の手がかりになるのか

採用の入口が閉じても、誰も職を失わないため失業として現れない。新卒の求人倍率は、企業が人員計画を絞り始めたことが最も早く出る場所のひとつで、既存社員の削減より先に動くことが多い。コロナ禍で1.83倍(2020年卒)から1.53倍(2021年卒)へ急落したあと1.75倍(2025年卒)まで戻したが、2026年卒は1.66倍へ再び下がっている。

この数値が意味しないこと

AI起因を取り出した数字ではない。求人倍率は景気・業種構成・学生の志望動向など多くの要因で動く。2021年卒の落ち込みは新型コロナによるもので、AIとは関係がない。AI失業カウンターには加算していない。

観測値と出典をすべて見る(6点)
  • 2026年

    1.66倍
    備考
    2026年3月卒業予定者。前年から0.09ポイント低下。情報通信業は2.15倍から1.90倍へと大きく下がった。
  • 2025年

    1.75倍
    備考
    2025年3月卒業予定者。直近のピーク。
  • 2024年

    1.71倍
    備考
    2024年3月卒業予定者。
  • 2023年

    1.58倍
    備考
    2023年3月卒業予定者。コロナ禍からの回復局面。
  • 2022年

    1.50倍
    備考
    2022年3月卒業予定者。前年から0.03ポイントの微減で、1.5倍台を維持した。
  • 2021年

    1.53倍
    備考
    2021年3月卒業予定者。新型コロナの影響で前年の1.83倍から0.30ポイント低下し、10年ぶりの下げ幅となった。

求人

一般事務の有効求人倍率(各年6月)

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」

ハローワークにおける一般事務従事者の有効求人数を有効求職者数で割った値。常用(パートを含む)の原数値で、季節変動を避けるため各年6月の数値を並べている。1倍を下回ると求職者の数に対して求人が足りていないことを示す。

最新(2026年

0.28倍

2025年から −0.03倍

なぜこれが雇用の手がかりになるのか

全体の有効求人倍率は1.18倍で「雇用は堅調」と読めるが、一般事務は0.28倍しかない。求職者1人あたりの求人が0.3件に満たないということで、事務職を希望する人が実際に直面している状況は全体の数字からは読み取れない。当データベースが収録している事務職の削減事例(みずほFGの5,000人分、経済産業省の2040年推計での437万人余剰)と、同じ職種で入口が最も狭いという対応関係がある。

この数値が意味しないこと

AI起因を取り出した数字ではない。事務職の求人倍率が低いのはAI以前からの構造で、勤務条件が比較的良く応募が集中しやすいことも要因である。またハローワークを通じた求人・求職に限られ、民間の転職サイトや直接応募は含まれない。AI失業カウンターには加算していない。季節調整をしていない原数値のため、各年6月どうしで比べている。

観測値と出典をすべて見る(3点)
  • 2026年

    0.28倍
    備考
    令和8年6月の常用(パート含む)原数値。職業計は1.01倍。事務従事者全体では0.35倍。
  • 2025年

    0.31倍
    備考
    令和7年6月の常用(パート含む)原数値。職業計は1.05倍。
  • 2024年

    0.31倍
    備考
    令和6年6月の常用(パート含む)原数値。職業計は1.06倍。

デザイナー等の有効求人倍率(各年6月)

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」

ハローワークにおける「美術家,デザイナー,写真家,映像撮影者」の有効求人数を有効求職者数で割った値。常用(パートを含む)の原数値で、季節変動を避けるため各年6月の数値を並べている。

最新(2026年

0.15倍

2025年から −0.02倍

なぜこれが雇用の手がかりになるのか

全職業のなかで最も低い0.15倍で、求職者1人に対して求人が0.15件しかない。生成AIによる画像・映像の生成が実用段階に入った職種であり、当データベースの職業別リスクスコアでもイラストレーターを上位に置いている。2024年から3年続けて下がっているが、下げ幅は年0.01〜0.02ポイントで急激ではない。

この数値が意味しないこと

AI起因を取り出した数字ではない。この職種はもともと希望者が多く、企業に属さないフリーランスの仕事が中心であるため、ハローワークの求人には表れにくいという構造的な事情がある。実態より低く出ている可能性が高い。AI失業カウンターには加算していない。季節調整をしていない原数値のため、各年6月どうしで比べている。

観測値と出典をすべて見る(3点)
  • 2026年

    0.15倍
    備考
    令和8年6月の常用(パート含む)原数値。全職業のなかで最も低い。
  • 2025年

    0.17倍
    備考
    令和7年6月の常用(パート含む)原数値。
  • 2024年

    0.18倍
    備考
    令和6年6月の常用(パート含む)原数値。

情報処理・通信技術者の有効求人倍率(各年6月)

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」

ハローワークにおける情報処理・通信技術者の有効求人数を有効求職者数で割った値。常用(パートを含む)の原数値で、季節変動を避けるため各年6月の数値を並べている。

最新(2026年

1.33倍

2025年から −0.16倍

なぜこれが雇用の手がかりになるのか

1.33倍と1倍を上回っており、求人が求職を上回る状態は続いている。ただし2024年1.46倍・2025年1.49倍と横ばいだったところから、2026年に−0.16ポイントと急に下がった。AIがコードを書くようになった影響が最初に出るとすれば、それはこの職種の求人であるため、事務職とは別に追う価値がある。

この数値が意味しないこと

AI起因を取り出した数字ではない。IT人材の採用は転職エージェントや直接応募が中心で、ハローワーク経由の求人は市場全体の一部にすぎない。3年分の変化だけで趨勢を判断することもできない。AI失業カウンターには加算していない。季節調整をしていない原数値のため、各年6月どうしで比べている。

観測値と出典をすべて見る(3点)
  • 2026年

    1.33倍
    備考
    令和8年6月の常用(パート含む)原数値。前年同月差は−0.16ポイントで、専門的・技術的職業のなかで最大の低下。
  • 2025年

    1.49倍
    備考
    令和7年6月の常用(パート含む)原数値。前年から微増。
  • 2024年

    1.46倍
    備考
    令和6年6月の常用(パート含む)原数値。

倒産

情報サービス業の倒産件数(上半期)

出典:東京商工リサーチ

ソフトウェア開発やホームページ制作などを手掛ける「情報サービス業」の倒産件数。東京商工リサーチが各年1〜6月分を集計している。

最新(2026年

166件

2025年から +26件

なぜこれが雇用の手がかりになるのか

解雇や採用抑制は「会社は残り、人が減る」形だが、小さな会社では会社ごと無くなる。2026年上半期の166件のうち、従業員5人未満が135件(81.3%)、負債1億円未満が147件(88.5%)を占める。**数人の会社が畳まれても解雇として報じられず、失業統計にも個別には現れない。** 東京商工リサーチは、ノーコード・ローコードツールや生成AIの普及で簡易な制作・開発業務の内製化が進み、価格競争に頼る小・零細事業者への逆風になっていると指摘している。当データベースが収録している事例の多くは大企業だが、影響を先に受けるのは受託側の小さな事業者かもしれない。

この数値が意味しないこと

AI起因を取り出した数字ではない。倒産の理由として最も多いのは販売不振であり、物価高・人件費上昇・下請け構造による価格転嫁の難しさなど、AIと無関係な要因も大きい。生成AIやノーコードの影響は東京商工リサーチの見立てであって、個々の倒産について確認されたものではない。件数であって失われた雇用の人数ではなく、AI失業カウンターには加算していない。

観測値と出典をすべて見る(2点)
  • 2026年

    166件
    備考
    2026年1〜6月。前年同期比18.5%増で、2017年以降の10年間で最多。5年連続の増加。形態別は破産162件・特別清算3件・会社更生法1件。
  • 2025年

    140件
    備考
    2026年上半期の166件と東京商工リサーチが公表した前年同期比(18.5%増)から復元した参考値。同社が直接公表した数値ではない。

デザイン業の倒産件数(上半期)

出典:東京商工リサーチ

グラフィックデザイン・インテリアデザインなどを手掛ける「デザイン業」の倒産件数。東京商工リサーチが各年1〜6月分を集計している。

最新(2026年

40件

2025年から +25件

なぜこれが雇用の手がかりになるのか

2026年上半期は40件で前年の2.7倍、2012年同期の45件以来14年ぶりの高水準となった。従業員5人未満が36件(90.0%)を占める。東京商工リサーチは倒産のパターンの一つとして、生成AIの普及でデザイン業務の短時間・低コスト化が進み、顧客が内製化した結果の受注不振を挙げている。**当データベースの別の指標と符合する**——厚生労働省の職業別の有効求人倍率では「美術家,デザイナー,写真家,映像撮影者」が0.15倍と全職業で最も低い。求人の入口が最も狭い職種で、会社そのものも最も速く畳まれている。

この数値が意味しないこと

AI起因を取り出した数字ではない。東京商工リサーチが挙げる3つのパターンのうちAIに関わるのは1つで、残り2つ(雑誌など紙媒体のデジタルシフト、ハウスメーカー倒産のあおりを受けたインテリアデザイン)はAIと無関係である。同社も生成AIについては「影響か」という書き方にとどめており、個々の倒産がAIによるものだと確認したわけではない。件数であって失われた雇用の人数でもない。AI失業カウンターには加算していない。

観測値と出典をすべて見る(2点)
  • 2026年

    40件
    備考
    2026年1〜6月。前年同期比166.6%増で、2012年同期の45件以来14年ぶりに40件を超えた。従業員5人未満が36件(90.0%)。
  • 2025年

    15件
    備考
    2026年上半期の40件と東京商工リサーチが公表した前年同期比(166.6%増)から復元した参考値。同社が直接公表した数値ではない。

指標の数値は各機関の公表値をそのまま記録しています。統計は遡って改定されることがあり、 その場合は同じ期間の値を更新します。更新の考え方は編集ポリシー8節に記載しています。

生き残るために、今日からできること

対策をすべて見る

費用がかからない順に並べています。

  1. 自分の業務を、置き換わる側と残る側に分ける

    同じ職種でも、入力・転記・集計のような決まった手順の業務は置き換わりやすく、判断や調整、人と向き合う業務は残りやすい。まず自分の担当業務がどちらに多いかを確かめます。

    例:事務職

    ▼ 置き換わりやすい議事録の作成・要約、定型メールの下書きと返信

    ▲ 残りやすい部門をまたぐ調整と根回し、例外処理の判断と責任者へのエスカレーション

    事務職の内訳をすべて見る

    費用:無料/目安:10分

  2. 置き換わる業務を、自分でAIに任せてみる

    AIに仕事を取られる側ではなく、AIに仕事を渡す側に回ります。手順つきのガイドを用意しています。架空のデータで試せるので、会社の情報は使いません。

    どれも無料。時間は手順の目安です。

  3. 次の道を、費用の低い順に比べる

    独学、社内で役割を変える、講座、転職。いきなり転職や有料講座に進まず、失うものが少ない順に、必要な経験・費用・注意点を比べます。

    講座を選ぶなら、国の教育訓練給付制度(厚生労働省)(外部サイト)で受講費用の一部が支給される場合があります。雇用保険の被保険者期間など、受給の要件がある。要件は公式で確認すること。情報の確認日:2026-08-15

どれも仕事を失わないことを約束するものではありません。ガイドの時間は手順を試すための目安で、仕事がどれだけ速くなるかを測った数字ではありません。