Klarnaは2024年2月27日、OpenAIと共同開発したAIアシスタントの導入初月の実績を公表しました。230万件の会話を処理し、同社のカスタマーサービスチャットの3分の2を担当。これを「フルタイム従業員700人分の作業量に相当する」と表現しています。問い合わせの再発率は25%低下し、解決までの時間は平均11分から2分未満に短縮されたとされます。
この「700人分」という表現は、AIが人を置き換えた事例として広く引用されました。しかし発表を読むと、これは処理した作業量を人数に換算した値であって、700人を解雇したという発表ではありません。同社はこのリリースで人員削減を公表していません。
当データベースでは、この数値を影響人数として集計していません。作業量の換算値を解雇者数として扱うと、AIによる雇用への影響が実態より大きく見えるためです。同じ理由で、将来予測(WEFの「2030年までに9,200万人分が代替」)や割合の推計(IMFの「世界の雇用の40%」)も人数としては集計していません。
一方で、カスタマーサポートという職種にAIの影響が集中しているのは確かです。BT Groupは2023年、2030年度末までの削減計画のうち約1万人がカスタマーサービス領域でAIに置き換わるとの見方を示しました。Snapが2026年4月にSECへ提出した8-Kには、サポート業務が月100万件超の質問に対応していることが記載されています。
つまり、業務量がAIへ移っていることは複数の企業の一次情報で確認できる一方、それが何人分の雇用の減少にあたるかは、多くの場合わからないままです。企業は作業量は公表しても、職種別の削減人数はほとんど開示しません。
わからないことをわからないまま記録するのは歯切れが悪いのですが、換算値を人数として積み上げるよりは正確です。数字が一人歩きしやすい領域だからこそ、その数字が何を数えたものかを毎回確認する必要があります。
本記事は AI失業.com 編集部が、イベントデータベースに登録された情報をもとに作成した解説です。 元になったイベントの一次情報・信頼度・AIとの関係の判断根拠は、下記の詳細ページで確認できます。